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『UI/UXについて〜LINEの場合〜』橋本健吾氏(NHN Japan):テックヒルズ「UI,UXの衝撃」

前回の記事 > 『開発者のためのUX』酒井洋平氏(UX TOKYO):テックヒルズ「UI,UXの衝撃」

テックヒルズというCROOZ社主催の勉強会レポートの続きです。

UI/UXについて〜LINEの場合〜

橋本さんはNHN JapanのUIデザインのマネジメントをされています。

UIとUXについては前回の記事でレポートした酒井氏と似た考え方で、

『UX』とは「User Experience」=「ユーザーの主観的な体験
『UI』とは「User Interface」=「ユーザーの主観的な体験を支える接点

という考え方はほぼ同じという事をおっしゃていましたのでUI、UXについては割愛、LINEでのデザインや開発プロセスについて非常に興味深かったのでそちらをメインにレポート。

NHN UX デザインプロセス

  1. Simple
  2. Quick & Fast
  3. 意匠

常にシンプルにデザインしろと言われる。

1. Simple

なぜUIにシンプルさが必要なのか。

ネットの歴史は1997-2005-2012(現在)黎明期とターニングポイントがあり現在にいたっていると考えているそうです。

1997:インターネット黎明期

  • 情報流通は一方通行

Yahoo!などのインデックス型のポータルサイトの台頭をメインに情報を配信することが簡単になったとは言え、インターネットは一方通行の情報であった。

2005-2012:ターニングポイントから現在

  • ブログメディアの台頭と不特定多数の出現
  • 情報流通の変化→ユーザー自身が供給側に回る。

非専門家による情報ニーズにたいしてわかりやすいシンプルなインターフェースが必要になってきた。Googleなどの単機能なインターフェイスなど。

Simple Visual Design

ラインのバナーの例

  • DesignA→キャラクターを使ったバナー
  • DesignB→コピーのみのバナー

DesignBの方が圧倒的に多かった。ビジュアルをシンプルにするとクリック率が上がる。

デザイナーとしてはかなりの冒険だったらしい。

Quick & Fast

Plan→Design→Develop

  • メリット :工数が読みやすく進行に有利
  • デメリット:プロジェクトのロールバックに弱い

LINEの場合

Line style develop

  • UXチーム
  • UIチーム
  • Devチーム

この3つのチームに分かれており、UXチームはリサーチとフィードバーックをして、UIチームがプロトタイプの作成をする。再度UXチームに戻してリサーチを繰り返す。

プロトタイプがある一定の質をクリアしたらDevチームに回して開発を行い、そちらでもリサーチとフィードバックを繰り返す。

8の字(メビウスリング?)のように繰り返し行われ、起点がどこにあっても回すことができ起点を1箇所に定めない(プランを待たない)ようなスタイルにすることでボトルネックにならないようにしているそうだ。

つまり、

UIチーム:こんなプロトタイプを作った
 ↓
UXチーム:リサーチ・フィードバック
 ↓
UIチーム:フィードバックを受けて改良
 ↓
UXチームとUIチームのやり取りを繰り返してDevチームへ

というようなUIチームの発想からでもリサーチ・フィードバックを行い、いついかなるときでも改善が行われるという状況がつくられている。

意匠

普段使うのものは、使い勝手の他に、材質や形、手触りといった感覚でものを選ぶ。

UIコンポーネントのライブラリ化は効率を高めるが質も均一になってしまう。

UIデザイナーは意匠を追求していってUIのデザインとしてUXを高めることが必要。

ノイズとプロトタイプ

ノイズを取り除く

LINEはコミュニケーションの流れを遮らないように不要なものを取り除く
→鉋(かんな)をかける、ノイズをとる(UIデザイナーがやらなければならない)

プロトタイプデザイン

ノイズを除去するにはプロトタイプデザインを重ねないといけない。実際に問題点やノイズに気がつくためには何度もプロトタイプを作ることでしかわからない。

つまり、見た目や使い勝手に磨きをかける=鉋をかける。

  • UIデザイナーの選択がUXに多くの影響を与える
  • 使う側の立場にたってデザインはシンプルにする
  • プロトタイプを繰り返して品質の凸凹をなくし洗練する

まとめ

LINEでは一般的であるウォーターフロー型の開発手法をやめて、どこからでも問題定義と解決手法に対するアプローチを投げかけることができる環境づくりをして改善スパンのスピードを早めるように努力していると感じた。

組織として各部署が目標にたいして自分たちが行うべきことを理解して仕事に集中している。仕事をする上で自分がやるべきことに集中できる。

UIとUXの関係性を理解するように努めて良いアプリを開発・改善し続けるという姿勢を感じた。