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コモディティ化するプラットフォームとUXの変化

今回は「コモディティ化するプラットフォームとUXの変化:對馬 正氏」というSwapSkillsの無料勉強会に参加して来ました。

月曜日で夜から雪という予報だったため予定していたほどの人数が集まらなかったのではないかということでした。

毎回勉強会に出ると新たな気づきを得られる、今回のSwapSkillsでも重大な気付きがあったので自分の意見も含めてまとめておきたいと思います。

言葉の定義

まずはじめに言葉の定義、これは登壇者の對馬さん然り、来場者然り一定の認識を持って話をし聞かないと全く論点がずれてしまうので、ここでも明確に定義しておく。

コモディティ化とは

品質が均一化することを指す、価格で比較するしかない状態になること。

プラットフォームとは

OSやハードウェアなどの基礎部分を指す

ユーザーエクスペリエンス(UX)とは

アプリケーションを入手するまでの経緯やアプリケーションを入手し使用した後のことまでを含めた体験。

コモディティ化するプラットフォームとは

作り手

簡単に真似できてしまう、似たような製品が簡単にできてしまう。

使い手

違いが理解し難い、機能では違いを判断できない。

アプリケーションのコモディティ化

Unity 4.0

  • どのプラットフォームでも動くアプリを作ることができる
  • アセットを利用すると誰でも同じ機能を実装することがしやすくなる

コモディティ化するWebサービス

パブリック・クラウド

  • AWSは10分で登録1年間無料で使える
  • Apptio社はパブリック・クラウドのkakaku.com

クラウドを利用することで環境の準備コストが低下、大企業などでしかできなかったような大規模なインフラを低価格で実現ができるようになってきた。

オープンソースのモジュールが抱負

  • PHP,Perl,Ruby,Python
  • 特定の環境下(パブリック・クラウドなど)で動けば良い

オープンソースの文化が根付いているWebでは特に機能をモジュール化して配布している例が多く、機能を真似ることがしやすい。

新しいサービスを開始しても短期間で真似できてしまうことがあり、ユーザーにとってみると差別化要因が特にない場合は価格勝負になってしまうことがある。

UXタイムスパン

製品のUXには購入前と購入後や、使用前、使用後と言ったタイムスパンが存在している。また、UXは日常のループを起こしていてその中でスピンアウトする非日常のUXも存在している。

  • Apple製品の例
  • ポケモンの例
  • ディズニーランドの例

日常的なUX

AppleStoreの仕掛け

購入前のUX

AppleStoreでは製品を置く感覚が二人並べるようになっている。これは製品を見ているお客と店員が対面式に話をするのではなく横並びになって同じ視点からものを見たり説明したりできるように設計されているらしい。

また、ただ販売するだけでなく、お客様の問題を解決するという指針の元接客をしているらしい。

機種変更や買い増しなどを考えている場合は、機種間のフラグメンテーションが少ないので新しく買った機種でアプリが動かないなどのエラーが少ない安心感も購入前のUXとして考えられる。

購入後のUX

開封すること自体がワクワクする作りになっていたり、マニュアルが必要ないほど次に何をするかがわかりやすくできている。

開封すること自体がイベントとして成り立つので開封の儀(Unboxing)の動画がUPされたりレポートされることもある。

ポケモンの例

日常的に行われているゲームのUXのループと非日常的なゲームを題材とした映画という日常的なUXと非日常的なUXを提供している。

日常的なUX

ポケモンのゲームをする、そのゲームのことを学校の話をするなど。

非日常的なUX

ゲームを題材とした映画を見に行く。映画館に行くと特別なポケモンがゲット出来るという事も。そこからまた日常のUXへのループに戻っていく。

ディズニーランドの例

入園料を払えば閉園までずっといられる乗り物に別途お金がかかることもないので長時間滞在をする。

1日では回り切られないのでリピートすることでより満足度を揚げることができる。また、期間限定のイベントや隠れミッキーなど毎回来るたびに違う体験ができる。

非日常を提供している

ディズニーランドは入園すると園内の景色のみに集中できるようになっていて、外の建物などが見られない配慮がされている。この事から日常的なループから抜け出し非日常的な環境に身をおける空間を提供している。

コモディティ化に対応する戦略について

ここからは話題が変わりコモディティかに対応するにはどうしたら良いかの話。

ユーザー視点

ユーザーは違いがわからないものにお金を払いたくないという心理が働くらしい。そこでまず導入してもらうのに初期費用ゼロというような価格帯の勝負が始まってくる。

デファクトかニッチか:製品のスタンスについて

コモディティ化すると価格はゼロに近くになり、機能で差別化できない場合は価格競争が起こる。

デファクトを狙う

価格競争では収益が上がらないのでシェアNo.1にならないといけない。シェアNo.1になった所で収益化しないのでNo.1にしかできない方法を考える必要がある。またNo.2以下には当然真似できない方法で収益化する必要がある。

タオバオの例

中国EC市場の8割超、中国物流の半分近くがタオバオで決済されたものだと言われている。シェアがダントツトップなので2位以下が真似できないような施策が施されている。

  • 出店手数料0、決済手数料0
  • 収入源は広告と融資
  • 中国にあるあらゆる商品が集まっている→埋もれてしまうので出店者は広告を出す
  • 売上げランキングの上から順に人気のある企業(個人)に融資することができてタオバオの決済から融資金額に対する返済金が支払われる

ニッチ狙い

違いがわかるものに特化する。固定ファンが確実にいる所で勝負する。クラウドファンディングなどで資金を集めることがしやすい。

OUYA

設置型ゲーム機、アンドロイドを使った端末。クラウドファンディングのキックスターターで約7億円を調達。設置型ゲームユーザー層を惹きつけた。

ドラゴンクエストX

日本語のみのWii専用MMORPG。課金ユーザーは40万人。前作の販売本数は426万本にもかかわらず、一人あたりの売上は毎年約2万円。固定ファンが存在している所で販売本数に関係なく売上を出すことができている。

まごラブ

特定年齢層に特化したWebサービス。

破壊的イノベーションとUXの変化

ヘンリー・フォード
:「顧客の要望だけを聞いていたら、もっと早い馬が欲しい」と答えただろう。

スティーブ・ジョブズ
:「ベルは、電話を発明した時に市場調査などしたか?」

違った価値を生み出すときには必ずしも顧客の声に答えているだけではいけない。

パネルディスカッションと質疑応答

ここからはパネルディスカッションと質疑応答から気になったものをピックアップします。

コモディティ化してしまったサービスをどのようにPRする場合はどうしたら良いか

  • 差別化する。
  • ニッチなところを見出し狙う。
  • 破壊的イノベーションを起こす。

この3点がポイントになるとのことです。この時の質問は「コモディティ化」ということを「競合が増えてきた」というニュアンスでおっしゃっていた気がします。

競合との違いを出して、その中にニッチなポイントを強めてシェアを出し、その他のところができないことをするという事でしょうか。

イノベーションを生み出すことが大切。では具体的には?

マイクロソフトの例
:スピンアウトして成功した人を再度取り込んでイノベーションを起こす。

マイクロソフトの場合は内部でイノベーションを起こせるほどの失敗がしづらい環境なのだと思います。イノベーションには失敗がつきものであり、正しく失敗を繰り返すことがイノベーションを起こすきっかけとなるということのようで、スピンアウトして成功した人を取り込むというのはその成功事例を収穫するという事のようです。

コモディティ化しないITは存在するか

真似できないモノは存在しない。特にWebはオープンにしてしまいやすいので真似しやすい。

既存の収益構造を破壊してしまうと後発でも勝てる可能性がある。破壊的イノベーションを意図的に起こすことはできる。

まとめ

見えない敵と戦い続ける必要がある

全体的にコモディティ化とUXという概念的な話で成功事例を上げて説明してくださったのはわかり易かったと思う。

今回の一番大きな気付きは、Webサービスやアプリケーションにおいてサービスの基盤がニッチ層なのかという見極めは極めてもちろん重要になるのだが、参入しやすいニッチであれば競合が出てくる可能性を当然のように視野にいれて、常に見えない敵と戦いをするつもりでいなければならない。

当然のことながらそれではどうあっても戦い切れないので、サービス事業を行なっている場合に最も重要なのは『自分たちのユーザーにとって何が最適なのかをきちんと考えて、真摯に向かい合い、問題を定義し、解決し、使い勝手を探求し続ける』以外に他はないと思う。

UXデザインをするにあたり重要な思想はこれ以外にはおそらく存在しないと思う。