前回の記事では大丸百貨店のiPadの店内案内とインフォメーションボードを比較してユーザーの利用心理について考えてみました。
では、グランスタと八重洲案内タッチディスプレイの場合はどうでしょうか。
簡単に見てみましょう。
グランスタ・八重洲案内タッチディスプレイの場合
グランスタとグランスタから八重洲側に出てすぐのところにこのようなタッチディスプレイがあります。
八重洲の場合は真横にマップがあります。
この地図は「東京駅一番街」という通路のマップなのですが、なぜこのマップがこの位置にあって、すぐとなりにデジタルの案内板があるのかパッと見て意図がわかりにくい気がします。(そのうちデジタルの案内板のみになるのでしょうか)
こちらはGRANSTAにあるタッチディスプレイ案内板のクイック検索という画面です。
いち早く検索するためにという目的でこの画面が用意されているということが理解できます。同時に静止画の案内板のように単機能ではないという事も理解できます。
静止画の案内板にないメリット
それは凡例ををタッチするとその施設がある場所が明滅します。上の写真は「化粧室」をタッチした写真です。
現在地の左上にある化粧室が黄色い円で強調されていることがわかります。また右端など化粧室がある場所が黄色い円の点滅で強調表示されます。
静止画の案内版だと能動的に施設を探さなければなりませんが、凡例をタッチしてその場所が強調表示されることである程度受動的な情報に変換されるので、探すという行為が軽減されます。
これは動的なタッチディスプレイ案内板を利用した良い面と言えそうです。
大丸百貨店のiPadとの違い
複数人で利用する
こちらのタッチディスプレイ案内板は右側と左側で違うものが表示されています。どうやら複数人で操作ができるようです。
大丸百貨店のiPadと違って何人かの利用者を見ることがあります。主に家族の方やグループの方が利用しているようです。
これは多くのタッチディスプレイと静止したインフォメーションボードとの違いですが、パブリックな場所でタッチディスプレイを操作をするという行為について考えると、そのデバイスを専有使用することに抵抗感を感じます。
これはボクも実際に使ってみて他の人の目がある中で自分の思ったとおりに操作をするというのはそれなりに抵抗感を感じて気を使う気がします。
専有する抵抗感
静止画の案内板であればよっぽど真ん前に立たない限りは横から、後ろから、少し遠目からなど、複数人で不特定多数での使用が可能です。
その点がタッチディスプレイ案内板の利用喚起を抑えてしまう心理的なストレス要因の一つかもしれません。
大丸のiPad案内とグランスタ・八重洲タッチディスプレイとの違いは、画面の大きさから、多人数で利用すると心理的な抵抗感が少しだけ少なくなるので、複数人のグループの方が利用しているのかもしれません。
iPadの案内は完全に専有使用がわかりきっているが利用されていない雰囲気
専有使用することがストレスなのであれば、明らかに専有使用なiPadなら抵抗なく利用できるのではないかと考えることもできます。
このあたりは心理学の領域になってくるかもしれませんが、それがわかっていたとしても利用されていないというのは、前回の記事で述べた触らないとわからないというのとあわせて、やはり専有するということに抵抗感を感じる人が多いのかもしれません。
八重洲タッチディスプレイの方がiPadの店内案内よりもわかりやすい
大きく地図が表示されるので、現在地とどこに何があるという事を知りたいだけの場合には、静止画の案内板と変わりなく、利用者が操作をしなくてもある程度の要求に答えてくれます。
このことは操作をしていない状態と同じなので専有するストレスがありません。
周辺案内などの付加価値となる情報がない分、iPadの店内案内よりもできることがシンプルです。
付加価値を削った分、わかりやすく、利用するストレスを軽減することができて、利用頻度を上げる結果になっているかもしれません。
ただこの場合は本質的にタッチディスプレイであることにメリットではないかもしれないです。
一つの挑戦的事例として今後について考えていく必要がある
当然のことですが、利用しやすさというのを最優先に考えて。
- 案内板にたいして求めているもの(Needs)
- 利用状況(Context)
といった部分から案内板としての本質的な目的にたいして考えるべきこと
- 利用方法(Interface)
地下街の人たちが案内板にたいしてなにを求めているのかも含めてその通路を利用する人たちが存在していることがどう影響するのかというのもひとつのポイントになるのかもしれません。